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甲府家庭裁判所 平成5年(少)502号

主文

少年を甲府保護観察所の保護観察に付する。

理由

(少年の非行と認めた事実)

一  非行事実

少年は

1  平成4年7月18日午後7時10分ころ、山梨県甲府市○○町××番地先路上において、M子(当時25年)に対し、着衣の上から同女の臀部を掴むなどの暴行を加え、もって、強いてわいせつの行為をなし

2  同年8月18日午後7時10分ころ、同市○○町××番地付近において、G子(当時19年)に対し、着衣の上から同女の胸を掴むなどの暴行を加え、もって、強いてわいせつの行為をなし

3  同年12月1日午後零時45分ころ、同市○○町××番××号○○商店前において、N子(当時18年)に対し、同女の乳房を着衣の上から掴むなどの暴行を加え、もって、強いてわいせつの行為をなし

4  上記1記載の日時ころ、同町○○番地○○酒店先路上において、同記載のM子の身体を蹴る暴行を加え

5  同年10月28日から同年12月1日までの間、別紙非行事実一覧表のとおり前後7回にわたり、同市○町××番××号○○方先路上他6か所において、E子他6名所有又は管理にかかる現金合計約5万7916円及びショルダーバックなど49点(時価合計12万0300円相当)を窃取したものである。

二  適条

1ないし3の各事実につき 刑法176条前段

4の事実につき 同法204条

5の各事実につき 同法235条

三  非行認定の理由

1  非行事実1ないし4の事実及び5の別紙非行事実一覧表の番号7の各事実については、少年もその事実を認めているところであり、本件記録に現れた証拠によりこれを認めることができる。

2  非行事実5の別紙非行事実一覧表の番号1ないし6の各事実について少年はいずれも否認するが、本件抗告審は、事実の取調べをし、少年の供述を検討したうえで、少年がこの各窃盗の非行に及んだことは合理的な疑いを越えて肯認することができるとの判断をしているものであり、差戻審である当裁判所もこの認定のとおり少年の非行であると認めたものである。

(少年の非行と認めない事実)

一  送致された事実

少年は

1  平成4年9月10日午前7時50分ころ、山梨県甲府市○○町××番地の○○方前路上において、通学途上のA子(当時9年)に対し、同児が13歳未満であることを知りながら同児に背後から抱き付いて仰向けに引き倒し、同所でブラウスの上から胸を揉み、ブルーマの上から手指で同女の陰部を弄ぶなどして強いてわいせつの行為をし、その際、右暴行により同児に対し、加療約1週間を要する膣裂傷の傷害を負わせ

2  同年11月5日午後5時55分ころ、同市○○×丁目××番×号株式会社○○○東側路上において、F子(当時15年)のリュックサック1個(時価1000円相当)、財布1個(時価1000円相当)、現金1550円、教科書1冊、問題集1冊を窃取し

たものである。

二  少年の非行と認めない理由

1  上記1の非行事実は、原審判時においては少年も自己の行為であると非行を認めていたものであり、原審判もこれにしたがって少年の非行と認めたものであるが、本件抗告審において、関係記録及び抗告審における事実の取調べの結果を精査したうえで、少年と本件犯行を結びつける証左を見いだすことはできないから、少年が本件犯行を犯したことが合理的な疑いを越えて証明されたということができないと判断しているものであり、差戻審である当裁判所もこの認定のとおり少年の非行ではないと認めたものである。

2  上記2の非行事実は、原審判時においては少年も自己の行為であると非行を認めていたものであり、原審判もこれにしたがって少年の非行と認めたものであるが、本件抗告審において、少年の供述と被害者の供述する被害の模様と著しく異なっているため、異なった事実ないし別個の犯行について述べているのではないかという疑問が残り、被害者に今一度被害にあった当時の状況等について確認等を行わないまま、少年の供述によって、直ちに少年が本件窃盗の犯行を行ったものと認定することはできないというべきであり、この点審理が十分に尽くされておらず、ひいては少年がこの非行を行ったと認定した原決定には事実の誤認があると判断されたものである。

そこで、当裁判所は、証人としてF子を取調べ、被害にあった当時の状況等について確認した結果、やはり、被害の模様と少年の述べる非行の状況とが著しく異なり、少年が本件非行を犯したことが合理的な疑いを越えて証明されたということができないと判断し、少年の非行ではないと認めたものである。

(処遇決定の理由)

一  抗告審の判断にしたがい、本件認定の非行を前提に少年の処遇を検討する。

二  少年の家庭は、中古車販売を営む父とこれを手伝う母と今春短大を卒業した姉との生活であって、経済的には比較的恵まれているが、少年は、小学校時代から勉強を嫌い、成績もあまり振るわず、勉強の出来る姉と何かと比較されることで自己の行為に自信がなく、周囲の言動によって被害感情を募らせ易くなり、自己中心の考えにとらわれて周囲に目を向けないようになっていった。

少年の内面には、家庭依存的な傾向があるのに、表面的に明るく振舞っているためか、原審判時においても、両親はこれに気付かず、少年を放任し、たまに強く叱責することで足りると考えていたようであり、このような家庭的不満と思春期の感情を他に発散させるために、強制わいせつの非行を繰り返していたものであると認められる。

本件認定の強制わいせつのどの非行を見ても少年の身勝手、自己中心的なものであり、その行為そのものは執拗であって、原審判時においては、本件認定の非行事実を前提として処遇を考えたとしても、少年を収容保護して教育を施すべきであったものと認められる。

三  少年は、原決定後、直ちに少年院に収容され6か月余りの少年院での教育を受けたものであるが、この期間で少年の自己中心的な行動面が完全に矯正されたかについては否定的な見方が強く、この点には保護者も含めて不安の念を払拭することはできない。

当裁判所の調査及び審判において、少年は、少年院収容当初は抗告のこともあり、教育を受けることの意味を考えなかったが、3か月位してからは抗告とは別に少年院での教育を受けようと考えるようになり、以後は積極的に教育を受けるようになったと述べ、教育を行った少年院も集団生活を通じて徐々に節度、協調性も育ち、他に配慮しながら協力して責任を果たせるようになっており、持久力に欠ける点についても課業を通じて責任感、意欲が芽生えて来ている、自己の苦手な面について消極的な行動を取りやすいため、保護者を初めとする関係保護機関の援助によって、社会内更生も可能であるとの見方をしているものである。

また、保護者としても収容保護されたことにより、少年の問題点について認識するに至ったことをも考慮すれば、少年及び保護者に少年院での教育の持続を誓わせ、これを実践させることにより、社会内での更生も十分可能であると判断した。

しかし、規律ある態度を持続させるためには、少年に対する第三者の厳しい指導と保護者に対する保護の調整が必要であると思料し、保護観察に付することとした。

よって、少年法24条1項1号、少年審判規則37条1項を適用して主文のとおり決定する。

(裁判官 三浦力)

非行事実一覧表

番号

犯行年月日(平成4年)

(ころ)

犯行場所(山梨県)

被害者

窃取金品

品名

数量

被害額(時価・相当)

10月28日

午後7時45分

甲府市○町××番××号

○○方先路上

E子

現金

1000円

ショルダーバッグ

1個

1000円

財布

1個

5000円

キャッシュカード

3枚

クレジットカード

3枚

預金通帳

4通

印鑑

2本

保険証

1通

身分証明書

1通

定期預金証書

1通

同日

午後8時40分

中巨摩郡○○町○○××番地○○高校入り口信号機交差点南西約50メートル先路上

H子

現金

5500円

財布

1個

3000円

運転免許証

1通

キャッシュカード

2枚

同日

午後8時50分

甲府市○○×丁目×番×号

○○方東側路上

I子

現金

3万3030円

リュックサック

1個

5000円

財布

1個

5000円

問題集ノート

2冊

電子計算機

1個

1000円

11月3日

午後8時

中巨摩郡○○町○○××番地の×先路上

J子

手提げバック

1個

3000円

練習着上下

1着

ガスゴテ

1個

3000円

財布

1個

同日

午後8時55分

甲府市○○×丁目×番××号

○○信用組合○○支店前路上

K子

現金

1000円

手提げバック

1個

2800円

財布

1個

2000円

手袋

1双

3000円

会員カード

5枚

同日

午後9時30分

同市○○町××番地先路上

L子

現金

1万2000円

布製袋

1個

1500円

財布

1個

4000円

印鑑証明カード

1枚

商品券のカード

2枚

7万8000円

12月1日

午後零時45分

同市○○町××番××号○○前

N子

現金

5386円

財布

1個

3000円

キャッシュカード

1枚

メンバーズカード

2枚

診察券

2枚

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